「あさひる統計」で振り返る、休日の人の流れの変化

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2020.12.24
「あさひる統計」で振り返る、休日の人の流れの変化

#6 休日の繁華街や公園からも人が消えた!

#5から読む

9月上旬に行った「あさひる統計」のアップデートでは、2020年4月~6月のスマホの位置情報を集計しています。したがって、4月7日付けで発令された緊急事態宣言を受けた外出自粛の影響を色濃く反映したものとなっています。

緊急事態宣言下の外出自粛が、日本各地の人の動きにどんな影響を及ぼしたのか。あさひる統計v2020Q2(4-6月版)で振り返ってみようと思います。

緊急事態宣言下では、不要不急の外出自粛が要請されました。テレワーク等の実施によって、平日を中心に都心のオフィスへの通勤や「夜の街」への人出が減少しました。では、休日の昼間の人の動きはどう変化したのでしょうか。繁華街のデパートや郊外の大型ショッピングセンターはもちろん、美術館や博物館、遊園地やスポーツ施設などレジャー施設の多くもが臨時休業に追い込まれました。こんな状況下での人の動きを振り返ってみます。

 

繁華街はゴーストタウンに?

平日昼間の人の流れを連載の#3で解説しました。東京駅に隣接する丸の内地区では、コロナ前の人出から半分以下まで減少していたことが明らかになりました。しかし、それ以上に休日午後の人出はそれ以上に激しく減っていたのです。半減どころか1/3という驚きの減少幅だったことが明らかになっています。

デパートや小売店が集中する繁華街の人出はどう変化していたのでしょうか。コロナ前とコロナ禍の休日午後の人口を示したマップを通じて、各地の繁華街の様子を見ていきましょう。

まずは、東京の商業の中心といってもよい、銀座・日本橋地区です。

休日の銀座日本橋地区

このマップでは、緑で示した場所は人口減少を、茶色の場所は人口増加を示していて、色が濃いほど人口の変動率が高い場所を示します。

首都高速環状線より西の地区では人口が減少し、東の向かうにしたがって人口増加域が目立っていることが分かります。おそらく、東に向かうほどマンションや一般住宅などが増え、「ステイホーム」していた人口が相当数存在して、人口の増加をもたらしたものと思われます。

一方、中央通り沿いの銀座から日本橋地区、そして日本橋川をはさんだ三越前付近まで、専門店やデパートが軒を並べる東京随一の繁華街では人口は減少しており、人出が冷え込んだことが分かります。

この地区全体を集計してみると、コロナ前と比較すると38%程度の人出にとどまっていたことが分かります。平日昼間のオフィス街の人出がおおむね半分程度の減少だったことと比べると、休日の人出の方が激しく減っていたことが分かります。職場への出勤をやめてテレワークを行うことは自分の意思だけでは決められないのに対して、休日の外出については自らの判断で取りやめられるという、意思決定の過程が反映したものと考えられます。

続いて、新宿はどうだったのでしょうか。

休日の新宿

新宿は、東口を中心に専門店や百貨店が立地しています。東口の繁華街はもちろんのこと、西口の高層ビルが立地するビジネス街、歌舞伎町がある歓楽街、さらにその北に隣接する新大久保のコリアンタウンまで、広範囲で人口減少が見られます。

一方、人口が増加しているのは、東新宿から曙橋や四ッ谷方面、西新宿のオフィス街のさらに西側に向かって立地する住宅街とおぼしき場所でステイホーム効果が現れているように見えます。

新宿のデパートや専門店が集中する繁華街の中心部を選択して、コロナ前後の人口の変化を集計してみました。コロナ禍における人出は、コロナ前の半分を少し上回る52%程度となっており、銀座日本橋地区よりも影響はやや緩やかだったといえます。

また、この地区の平日昼間の人出の減少幅もおよそ半分程度となっているので、休日も平日も同程度の人口減のインパクトだったことが分かります。

 

関西の繁華街の様子もチェックしてみましょう。大阪駅・梅田駅周辺のキタの様子を見てみましょう。

休日の梅田

銀座・日本橋や新宿に比べて、緑で示した人口減少域が狭くなっているようにも見えます。梅田は、繁華街に隣接した市街地内にも人口を多く抱えており、平日休日とも昼間の人口が多く、ビジネス街と繁華街の両面を併せ持った街といえます。コロナ前の休日午後の推計人口は新宿や銀座を上回るほどで、狭い領域に集中的に人口が集積する様子が分かります。

コロナ前後の変化を見てみると、休日午後の人出は39%程度となっていて、銀座よりは人出が多く、新宿の方がやや減少はゆるかった様子が分かります。

ここまで、東西の代表的な都心の繁華街の休日午後の人出を見てみました。
東西の繁華街での傾向の違いは明確には見いだせませんでした。しかし、いずれの地区でも「ステイホーム」の影響は平日に比べて休日の方が大きな影響を及ぼしたであろうことが推測できました。

 

住宅街を抱える都市部の繁華街は賑やか

少し地域軸をずらして、都心から少し離れた場所にある繁華街の人出はどうだったのか見てみましょう。「夜の街」の人出と同じように、周辺の住宅街との位置関係が人の流れに影響を及ぼしていると思われますので、チェックしていきます。

まず、東京都内の近隣繁華街の例として、大井町を見てみましょう。大井町は京浜東北線で品川から一駅郊外の駅で、夜間人口の人口密度が高い、都市内の住宅地となっている地域です。

休日の大井町

コロナ禍の休日午後に人口が減少しているのは、駅そのものと駅前のごく狭い範囲、そしてそれに繋がるビジネス街的な機能のエリア(大井町の場合は、JR東日本の車両基地)に限られています。住宅街に周りを囲まれて、駅前のごく狭いところに店舗が立地しています。これらの店舗では都心の繁華街のような買回品のお買い物ではなく、食料品などの日用品のニーズが高くなっていると想像できます。人口の減少幅は20~40%程度と都心の繁華街よりは低くなっていて、緊急事態宣言下といえどもある程度の人出が見られたということを示しています。

 

関西地区でも傾向を見てみましょう。

地下鉄御堂筋線から乗り入れる北大阪急行の終点駅である千里中央駅の周辺を見てみましょう。駅周辺には大型商業施設やホテル、病院、オフィスビルなどがコンパクトに集積しており、その周囲は住宅街が広がっています。

休日の千里中央

人口変化のマップを見てみると、コロナの影響による人口減少域は商業施設やホテルなどの公共的な施設の分布にほぼ重なることが分かります。

その減少率も20~30%程度となっており、都心の繁華街ほどの影響は受けていないことが分かります。電車に乗って梅田などの繁華街に移動することにはリスクを感じていた時期ですから、徒歩やクルマで日用品を買い物に行く人の流れについては減少幅が軽減されていたということでしょうね。

 

あれ?家電量販店が人を集めているのか?

休日午後の人出を分析していて気づいたことがあります。
次の表は、コロナ前と緊急事態宣言下における人出上位のメッシュの比較です。

休日の人口上位メッシュ

コロナ前の2020年1-3月は梅田なんば、池袋や新宿などの駅に近い都心の繁華街が上位を占めていることが分かります。ところが、コロナ禍の4-6月では都心の繁華街が大幅に人出を減らす中、大井町や千里中央、上大岡といった都心以外の繁華街の人出が増えていることが目立ちます。これらの地域でも人出は減っているのですが、都心の繁華街の人出が減りすぎてしまって上位に浮上したという印象です。

さらに特徴的なのは、これら新たにランクインしたメッシュには、必ずといっていいほど家電販売店が含まれていたということです。食品スーパーやホームセンターなどの生活必需品を扱う店舗は、この時期来店者は逆に増えたという報告もあります。同様に家電販売店も緊急事態宣言下の巣ごもり消費に必要な店舗だったのかもしれないですね。

 

ロードサイド店舗の動向はいかに?

クルマがないと日常の買物が難しそうな地方では、休日昼間の人の動きはどうだったのでしょうか。地方都市では、都心部の商業集積が弱体化して、郊外の主要道路沿いに集積した商業地が、都心の繁華街を凌駕している場所も少なくありません。

ここでは一例として、帯広市から北の足寄方面に向かう主要国道沿いにある商業集積地の人の動きの変化を見てみましょう。

▼Googleストリートビューで見る帯広市近郊の足寄国道沿いの車窓風景

国道沿いに広大な駐車場を持つスーパー、家電、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストア、パチンコ店、飲食店などの店舗が集積している地域です。地方都市の郊外に行くとよく見られる風景ではないでしょうか。

休日の帯広足寄国道

地図中央を南北に走っているのが足寄国道です。道路沿いの店舗が立地するメッシュについては、おしなべて人口が増加していることが分かります。周辺の住宅地とおぼしきエリアも全体としては増加している印象です。

このエリアから南に4~5km行くと、帯広市の繁華街があります。

休日の帯広

同じ時間帯の帯広繁華街の人の動きを見てみると、全体には減少傾向にありますが、その減少幅は大都市の繁華街ほど激しいものではありません。地方都市では繁華街やオフィス街と目される地域にも住宅が多くあるように、都市機能が明確に分化しているわけではないことも、極端な人の動きが観察されない要因と思われます。

次回は公園や観光地などのレジャーに関わる人出について考察してみたいと思います。

続き #7を読む

 

あさひる統計の詳細は、ホームページをご覧ください。

また、日本統計センターが公開しているウェブマッピングサイトである「47maps」では、あさひる統計をオンラインで閲覧することができます。身近な地域の人口の変化を、皆さん自身で確認することができます。

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