出張で北九州に来ています。せっかくの機会ですから、前泊してまだ行ったことのない街を歩いてみました。
ただ歩くだけではなく、未来統計やあさひる統計などの地域情報を下敷きにして、統計が示す地域の姿と街歩きのリアルな現実を体感してきました。

若松と戸畑の今昔マップ
若松と戸畑の新旧マップ(今昔マップにて作成)

今回は北九州でも少しマイナーな地域かもしれない若松と戸畑を中心に街歩きしました。洞海湾の両岸に広がる両地域は1962年に開通した若戸大橋で結ばれています。2012年には交通量の増加に伴い海底トンネルも完成。以前からの渡船も健在で、北九州工業地域を支えた両地域は現在はどんな様子なのか、現地を歩いて見てきました。

若松は石炭の積み出し港として、戸畑は隣接する八幡とともに製鉄で日本を支えたように、明治時代から早くに工業化が進んだ地域です。現在では石炭も製鉄も産業としての勢いは翳りがあります。

未来商圏レポートで、若松と戸畑の旧市街地とおぼしきエリアの人口変動の見通しを見ておきましょう。

若松駅および戸畑駅から徒歩15分の領域の2045年までの人口の推計。人口の規模こそ違うものの、人口下落のカーブは両地域とも福岡県の標準をはるかに上回る勢いです。
いずれも画像クリックでPDFのレポートが開きます。

鹿児島本線の折尾駅から筑豊本線(若松線)で若松駅まで移動します。
この路線、都会の近郊だというのに非電化の路線なんです。ところが、走っているのは電車です(いや「dencha」という名前ついています)。非電化区間は蓄電池で走行するとのことです。

dencha
若松線の新型電車。非電化区間はパンタグラフを下げて走行する

洞海湾の海岸線に沿って、比較的新しい集合住宅が目立ちます。折尾駅でほぼ席が埋まった乗客の多くは、かつて石炭貨物のヤードを再開発したとおぼしき地域の駅で次々と下車し、若松駅まで乗車したのは数名にすぎません。
若松は、かつては筑豊炭田からの石炭の積み出し港として栄えた街なのですが、すでに炭鉱は閉山し、かつての賑わいはありません。

そして、かつて賑わっていた海沿いの海岸通りに残るレトロな建築物群を保存し、観光産業への転換を目指しています。

旧古河鉱業若松ビル
レトロといってよいのか微妙な街角
対岸の戸畑とは片道100円で渡船が運航

海岸通りから市街地方面に歩を進めると、かつては賑わっていたであろうアーケード街や市場があります。日曜日の午前中だというのに、歩行者はまばらです。一般の民家も多くて住宅地のようでもあり、アーケード街もあって商業地っぽくもあるし、オフィスも点在しているようなエリアです。
あさひる統計のレポートで昼間人口と夜間人口、平日と休日の人口の関係を見てみましょう。

設定した地域内に歓楽街も商業地もビジネス街も住宅地ももれなく存在するという、珍しい地域かもしれません。画像クリックでPDFのレポートが開きます。

時間帯別の人口増減グラフを見てみると、平日の昼間に若干人口の伸びが見られるものの、休日も平日もほぼ一日人口の変動は見られないことが分かります。それなりの都市ですから地域内外で人口の移動がないわけではないでしょう。時間帯ごとの流入と流出が均衡していると考えるべきなんでしょうね。

洞海湾の対岸である戸畑地区との比較を行ってみましょう。

こちらも設定エリア内に歓楽街、商業地、ビジネス街、住宅地のすべての要素が揃っている地域です。 画像クリックでPDFのレポートが開きます。

同じ15分徒歩圏で比較すると、人口規模は戸畑の方が倍近くあります。鉄道の幹線が通り、市街化は戸畑の方が進んでいます。ところが、一日の人口変動を見ると、戸畑もほぼ変動していないことが分かります。通勤通学の人も住んでいるでしょうに、入れ替わり分がほぼ同数ということと理解します。

すぐお隣に小倉という中心地があるので、街を歩いていても郊外の隣町っていう雰囲気が感じられます。こちらもアーケード街は寂れた印象でした。
夜に歩いた小倉のアーケード街は活気がありました。この近辺の消費活動は小倉(か、郊外のショッピングセンター)に持って行かれてるんでしょうね。ひょっとしたら、福岡市の天神や博多駅地区に流れているのかもしれないですね。

戸畑駅前のアーケード街もシャッター通り化しています。わずかに飲食店が開いていて、ランチは食べられそう。
戸畑駅前にはイオンが立地しています。都市郊外の駅前感です。まあ、普通はここでお買い物しますよね。

この日は、夜小倉駅付近に出かけ、飲み歩きも楽しみました。
こちらは若者が多く歩いていて活気がありました。北九州市は門司、小倉、八幡、戸畑、若松の5市が合併して誕生した都市なのですが、城下町だった小倉の中心地性が圧倒的なんだということに改めて気づきました。

若松と戸畑の街歩きコース。スーパー地形で作成しました。
背景の地図は最新の地理院地図と1920年代の地図(今昔マップ)との重ね合わせです。
「47maps」は全国各地の統計指標をマップ化することができる無料の地図サービスです。
街歩きで思いついた仮説をマップを通じて検証することも旅の楽しみの一つかも。
画像クリックで「47maps」のサービスが開きます。