近年増加が続く川崎市の人口が、全国の政令指定市で第6位に上昇したというニュースが発表されました。
川崎市は15日、5月1日現在の市の人口が152万6630人となり、神戸市を抜いて政令市6位となったと発表した。全国的に人口が減る中、武蔵小杉駅周辺などで高層マンションを核とした再開発が進み、転入が転出を上回る状態が22年間続いている。
毎日新聞 2019年5月16日
政令指定市は全国で20都市指定されていて、そのうち人口が100万人以上の都市は11都市。上位順に横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市の順となっています。これに続く第6位の神戸市を抜いて、川崎市が第6位になったというわけです。
ちなみに、日本最大の都市である東京は特別区という枠組みとなっていて、政令指定都市ではありません。東京23区を一つの都市として考えると、川崎市は日本で7番目に大きな都市ということもできます。
全国的な傾向として首都圏への人口集中が続いており、川崎市は近年急激な人口増加が進んでいます。工場跡地にタワーマンションが林立する武蔵小杉のみならず、南武線沿線は住宅開発が進み、これが原動力となって人口を増やしています。この人口増加傾向は、将来どうなっていくのでしょうか?
「未来商圏レポート」で川崎市の将来人口推計を見てみましょう。
川崎市(武蔵小杉周辺から車で20分圏)の未来商圏レポート
「未来商圏レポート」は市町村単位での分析を前提としていません。この集計エリアは一部隣接する東京都大田区と横浜市のエリアを含み、川崎市北部の宮前区、多摩区、麻生区は含んでいない地域もあります。正確な川崎市域での集計値となっていないことはご注意ください
PDFのレポート右上のグラフで5年ごとの人口推移の推計を見ると、2040年までは人口の増加がするものの、それ以降は減少に転じるという予測となっています。
ちなみに、右上のグラフで赤の線が神奈川県の平均、緑の線が全国平均の増減傾向を示しています。まあ、2045年ともなると、都市を含めて日本全体で増加する地域などほとんどないと思われますので、2045年まで人口減少しないというのは日本でもトップクラスの成長地域といえます。
この原動力は、一義的には転入者の増加などの人口の社会増が貢献しています。転入者は進学・就職や結婚、出生などのライフステージの変化によるものが想定されます。全体にそういった転入者は若い層が多く、その結果として川崎市域の生産年齢比率(人口全体に占める15-65歳人口の割合)は60%代後半と比較的高めになっています。
これらの年齢層が出産をすることによって、人口の自然増も見込まれることが人口の減少が起こりにくい要因といえます。
一方、今回川崎市に順位を抜かれた神戸市の状況はどうでしょうか。
神戸市(兵庫区から車で30分圏)の未来商圏レポート
神戸は六甲山の海側に東西に市街地が延びる街です。しかし、六甲山の北側や西側の丘陵地にニュータウンが開発され、これが神戸市の人口増加を支えてきました。集計エリアは神戸市の旧市街を中心としたもので、西部の垂水区や西区の西神ニュータウン方面は含まれていないことにご注意ください。
2025年以降は人口が微減する傾向が予測されます。生産年齢人口も60%前半から50%後半に減少する傾向で、人口の自然増の圧力もそれほど高まらないでしょう。2045年までの人口の減少傾向は全国平均とほぼリンクしていており、この先川崎市を抜き返すというのは難しそうです。
さて、成長を続ける川崎市ですが、さらに上位を狙うということは可能なのでしょうか。現在政令市の人口5位の福岡市とは2018年10月現在でその差が6万人強とそれほど大きな差ではありません。福岡市の人口動態はどうなっているのか、こちらも「未来商圏レポート」で見てみましょう。
福岡市(博多から車で20分圏)の未来商圏レポート
福岡市は地方にありながら、九州の「首都」として、地理的な優位性からアジアの玄関としての成長を続けていて、ここ数年は高い割合で人口が増加しています。5年ごとの人口増加率の推移も川崎市と同じ水準が見込まれます。
したがって、川崎市が近いうちに5位に上昇するということは想定しづらいと思われます。
さらにその上の第4位の札幌市の状況も簡単にレビューしておきます。
札幌市(札幌駅から車で20分圏)の未来商圏レポート
そもそも札幌市との人口の差は40万人以上と差が開いており、相当の人口変動がなければ順位の変動は難しいと思われます。しかも、札幌市も鈍いとはいえ人口は増加基調にあるため、札幌市を逆転するというのは難しそうです。
弊社は川崎市に本社があります。川崎は東京と横浜の間に位置してお隣に埋没しがちですが、東京に隣接するという地理的な優位性はあります。
川崎市が弊社ともども今後も順調に成長を続けることを願っています。